こんにちは。
事務局の櫻井正則が担当します、第35回目の事務局通信。
最後までご一読頂ければ幸いです。
※事務局通信は、キャリアチェンジサロンのセミナーやメールプログラムにお申込みいただいた方に毎週水曜日、キャリア関連のことやキャリアチェンジサロンの様子についてお送りしております。
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「グループ・ダイナミックス」
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事務局通信をお読みの皆様の中にも、吉川英治の「三国志」をお読みになった方はいらっしゃると思います。
言わずと知れた、中国の後漢末期から三国時代にかけて群雄割拠していた時代(180年頃 – 280年頃)の興亡史であり、蜀・魏・呉の三国が争覇した三国時代を舞台に日本人読者向けにアレンジされた大河小説です。
かなり長い小説で、登場人物もそれぞれで一冊の本になるくらいの強者が何百人と出てくるので、ページを読み進んでは、あれ? これは確か…と言ってページを戻って探るような読み方でしたが、物語に魅力があり、どうなるんだろう? どうなるんだろうと、ワクワクしながら読み進めた記憶があります。
主役の劉備は音楽や見栄えがある衣服を好み、言葉は少なく、よく人にへりくだり、喜怒の感情を表にださず、男気のある人物と交わることを好んだため、若者は争って彼についていくほどの人物。
また豪傑関羽は、その人並み外れた武勇や義理を重んじた行動から、敵の曹操でさえ一目置く人物で、多くの同時代人から称賛されたそうです。
そして猛将張飛は、人並み外れた勇猛さが轟き渡り、その武勇は後世にも称えられ、人柄は大いに親しまれたというキャラ。
これだけ素晴らしい人物たちではありましたが、唯一作戦を立てられる参謀がいなかったので、理想は高かったがそれを実現する力に欠けていたのです。
そこで登場するのがご存知の諸葛亮孔明。
劉備はこの若い人材を登用するために、居留守を遣われていると分かっていても、遠方から3度も孔明の許に足を運びました。
こうして知力と戦闘能力を得た劉備は、孔明の立てた「天下三分の計」の実現に向けて戦いの烽火を上げていくのです。
あーなんか、また読みたくなってきました~~(笑)
この様に仕事が大きく前に進むには、適材適所ということがとても重要になってきます。
では、この適材適所を見抜く人は誰なのでしょうか?
ある時私たちの職場に、若者が入職してくると言われました。
なんでも他の系列病院でお荷物と言われて、能力のない人間なので、申し訳ないけど面倒を見て欲しいとのこと。
「なんだよ~押しつけかよ~」と文句たらたらで彼を迎えた私たちでしたが、半年もたたないうちに、彼無くしては現場が回らないというくらいに見事な働きで、私たちも「お荷物と言われたのはなぜ?」という疑問を抱かざるを得ない人物だったという事に気づいていくのです。
彼とは職場を定年退職してからも、様々な情報交換をしたり、起業の話しをしたり飲みに行ったりと、良好な関係を続けさせて頂いています。
そんな優秀な若者がなんでその様な評価になってしまっていたのか、私なりに分析をしてみました。
彼が入職して最初に配属されたのは精神科病院のケースワーカー。
その役割は、精神障がい者の方の退院促進であり、毎日の健康状態の維持が主となります。
どちらかと言うと介護の世界に近いという印象です。
それに比べて私たちの職場である精神障がい者の方の社会復帰施設でのケースワーカーの仕事と言うのは、障がい者の方が社会の中で暮らすことに重点が置かれ、暮らしや働きを応援するという事を一緒になって考えていくことになります。
つまり彼は介護的な要素より、一緒に動くこと、生活や仕事を一緒に考えることにモチベーションを感じていたという事になります。
もちろん病院でのケースワーカーの仕事も大切です。
それを知っておくことも大切な仕事上の経験だったかも知れません。
でもそれが出来ない人間を、お荷物と言うレッテルを張って追い出すという事が許されていいのでしょうか?
その様な表現でしか人を見ることが出来ない、またこれからの人材をその様に扱う事しかできない、むしろリーダー側の力量不足は疑わないのでしょうか?
得てして犯しがちな昇進人事に、その優秀なスキルだけを取り上げてしまうという事があるのではないかと思います。
大切なのはグループの中にあって、どの様な行動・考えで働いているのか。
またそのグループにどれだけの魅力があるか。
これはグループ・ダイナミックスという考え方ですが、その集団の凝集性と魅力度で判断されます。
具体的には、
・その集団に魅力的な人あるいは信頼できる知人がいる
・その目的や活動が魅力的である
・そこに属することで自分の評価(価値)が高まる
・そこで自分の力を試してみたいと思う
・そこで得られる物理的報酬が他の集団より高い
もしかするとこうしたことが病院のワーカーたちの中でも共有されていれば、彼も病院での経験をスキルとして積めたのかもと思うと残念でなりません。
先ほど優秀な人物として紹介しました諸葛亮孔明も、人材育成、適材適所の人選には多くの失敗があったとされています。
彼は、人材そのものの能力面だけに目を向けてしまい、職務との相性、チームワークでの相性を考えなかったために人選に失敗し、その後も人事を起こしては、そのたびに優秀な人材をつぶしてしまっているという歴史的な評価です。
こうしてみるとリーダーとして人物を見抜く力。
適材適所に人を配置できる力。
それは、単純な優秀さやスキルの高さだけでは判定できない、人間力も必要なのかも知れませんね。
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キャリアチェンジサロン運営事務局
櫻井 正則(さくらい まさのり)
20代から演劇の作・演出家として何十本もの創作劇を上演。
30歳の時に、精神障がい者の社会復帰施設での彼らとの出会いから、こんな世界があるのかと目覚め、以後その道に進み、仕事の傍ら10年間東京都での「心の健康フェスティバル」総合演出を担当。
6年間地域のエッセンシャルワーカーの若手の繋がりを主催。
50歳で精神障がい者に特化のe-ラーニングを事業としたNPO法人「Leaves of Grass」を立ち上げる。
2020年12月に60歳で職場を定年退職。
2021年2月にITアプリを導入してメンタルヘルスケアを支援する一般社団法人「リプラボ」を立ち上げる。
その他に狛江市のNPO法人「狛江さつき会」の理事も兼務。
現在調布の自宅と埼玉県小川町の事務所を行ったり来たりの生活で、小川町では日本ミツバチのチーズケーキ販売の事業を展開すると同時に、障がい者の方に活版印刷を教えて、ユネスコ無形文化遺産の和紙で名刺づくりを始めている。
雇用環境整備士資格(Ⅱ種)取得
■NPO法人Leavess of Grass
法人URL:https://my125p.com/l/m/FcQVZs1mpXOKeT
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