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事務局通信
2021.10.13

【公式 М=Σ[(E→P)×Σ[(P→O)×(V)]]】キャリアチェンジサロン事務局通信vol.33

こんにちは。

事務局の櫻井正則が担当します、第33回目の事務局通信。

最後までご一読頂ければ幸いです。

※事務局通信は、キャリアチェンジサロンのセミナーやメールプログラムにお申込みいただいた方にキャリア関連のことやキャリアチェンジサロンの様子についてお送りしております。

 

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「公式 М=Σ[(E→P)×

      Σ[(P→O)×(V)]]」

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これまで多くの学者が人間の心理メカニズムについて研究を繰り広げてきました。

 

表題に掲げた公式もその一つで、動機づけのメカニズムを公式で表したものです。

 

動機づけの強さ「М」は、心理的な「努力すれば業績に結びつくという期待確率」(E→P)に、「業績を上げれば望む結果(報酬)が得られるという期待確率」(P→O)と「その結果そのものの魅力度」(V)の積を掛けたもので決まる。

 

そして面白いのが、この公式では三つの要素のどれか1つがゼロであれば、動機づけは生じないとしています。

 

つまり、どんなに業績に結びつくと感じていても、どんなに業績が上がり、望む結果がついてくると分かっていても、「結果そのものの魅力度」がゼロであれば、その仕事をやろうという気が起きないと定義づけているのです。

 

この仕事をすれば昇進できるかも。

この仕事をすれば給料が上がるかも。

 

と思っていても、その結果に魅力が無ければやる気が起きないと、言い換えることもできるかも知れません。

 

私が30年働いてきた精神障がい者の方の施設は、印刷の仕事がその柱でした。

 

働いている障がい者の方はその特性に合わせて、印刷機が回っている機械そのものを動かす部門に行ったり、完成した新聞などに「入紙」作業と言って、ページを挟み込んでいく作業をしたり、私の担当は新規立ち上げの事業で、働く方は皆さん女性の方々で、本や新聞の編集をパソコンで行うDTPの作業場で、「電算室」と言われておりました。

 

これまで古くから和文タイプを仕事としていた彼女たちにとって、初めてのパソコンの作業は大変だったと思います。

 

入力した文字がディスプレイから消えてしまうと勘違いして、ビックリして私を呼んだり。

 

「これは字が消えてしまうのではなくて、こうやってスクロールするとチャンと見えてくるでしょ~」

 

などと考えられない質問が飛んでくるくらい、30年前の障がい者施設にとってパソコンでの作業はかなり先進的な取り組みだったのです。

 

周りの職員やドクターをはじめ、施設長など多くの方が統合失調症の方々だから、文字を入力する仕事しか出来ないと、そう考えていらっしゃるようでした。

 

でも、統合失調症と言うものがどの様な病気なのかまったく知識のない当時の私は、誰でもやる気にさえなれば絶対編集作業だってできると信じておりました。

 

初めはどんなに教えても、ドラックもできない、スクロールすらままならない状況に気持ちも萎えそうになりましたが、真面目な彼女たちは、できなくても懸命に教えられた通り努力して、基礎をマスターしていきました。

 

するとこれまで笑顔も見られず眉間に皺をよせていた彼女たちから、少しずつ優しい微笑みが見られるようになりました。

 

そして私だけが教えていた状況から、分かっている者が分からない仲間に教え始めて、何だか不思議な連帯感が生まれ始めたのです。

 

それを感じた私は一段階レベルをあげて、編集作業に着手させることにしました。

 

今度は文章中に編集コードを入れて行かなくてはならず、これは皆さんにとってまたまた大変な作業だったと思います。

 

単純にコードを覚えることは難しい。

そこで段組み指令や罫線指令を単語登録・辞書登録にて単純な言葉で登録し、その言葉を覚えてもらうことにしました。

 

ここで太い罫線を入れたければ、キーボードを「ふとけい」と押す。

 

ここで2段組みにしたければ、「だんに」と押す。

 

どんなに長い指令もこれだけで編集が可能になります。

 

その単語登録表を皆さんに配るだけで、彼女たちは次々とDTP編集をしていき、綺麗な書籍のゲラ(校正のための試し刷り)を仕上げていったのです。

 

そのゲラを出力する機械は、職員でも知らないと動かせない機械です。

 

ついには私を挟まずに、原稿の入力から編集、校正だしまで仕上げて、彼女たちは活き活きと仕事をこなしていったのです。

 

ドクターは、脳のドーパミン物質の作用は分かっても、キーボードの辞書登録を利用するという事は分かりません。

 

これが障がい者の方々と一緒に働くことの醍醐味です。

出来ないだろうと思われた方々が活き活きと働く姿。

 

ここで表題の公式に戻りたいと思いますが、

 

動機づけの強さ「М」は、心理的な「努力すれば業績に結びつくという期待確率」(E→P)に、「業績を上げれば望む結果(報酬)が得られるという期待確率」(P→O)と「その結果そのものの魅力度」(V)の積を掛けたもので決まる。

 

この公式を公式ではなく、本物にすることそのものに働く価値があると思えてなりません。

 

私が長く障がい者の方たちと一緒に仕事をしてこられたのも、「障がい者の人たちの作業と言うのはこの程度だよね。」という当たり前の常識を覆したいという、「結果そのものの魅力度」がめちゃくちゃ高かったのだと、改めてその価値を心に深く感じております。

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キャリアチェンジサロン運営事務局

櫻井 正則(さくらい まさのり)

20代から演劇の作・演出家として何十本もの創作劇を上演。

30歳の時に、精神障がい者の社会復帰施設での彼らとの出会いから、こんな世界があるのかと目覚め、以後その道に進み、仕事の傍ら10年間東京都での「心の健康フェスティバル」総合演出を担当。

6年間地域のエッセンシャルワーカーの若手の繋がりを主催。

50歳で精神障がい者に特化のe-ラーニングを事業としたNPO法人「Leaves of Grass」を立ち上げる。

2020年12月に60歳で職場を定年退職。

2021年2月にITアプリを導入してメンタルヘルスケアを支援する一般社団法人「リプラボ」を立ち上げる。

その他に狛江市のNPO法人「狛江さつき会」の理事も兼務。

現在調布の自宅と埼玉県小川町の事務所を行ったり来たりの生活で、小川町では日本ミツバチのチーズケーキ販売の事業を展開すると同時に、障がい者の方に活版印刷を教えて、ユネスコ無形文化遺産の和紙で名刺づくりを始めている。

 

雇用環境整備士資格(Ⅱ種)取得

 

■NPO法人Leavess of Grass

 法人URL:%url5%(http://lognet.jp/)

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